セラミック歯の種類とそのメリットとデメリットCOLUMN

セラミック歯の種類とそのメリットとデメリット

2020年06月07日

監修医師:
歯科医師 歯学博士 山田知里

最近、芸能人のようなきれいな歯を手に入れたい、口元に清潔感を出したいと思っている方も多くなってきました。そんな方におすすめなのがセラミック製の歯です。セラミックは生体親和性が高く、白い歯の材料として有名です。今回はそんなセラミックについて紹介していきます。

セラミック歯(セラミッククラウン)の構造と製造工程

セラミッククラウンは基本的に2重構造になっています。まず、セラミックのフレームで土台となる形が作られます。土台が歯に適合しなければ被せ物も適合しないので、フレーム作りは正確に行う必要があります。

フレームが適合したら、その上へセラミックを盛っていきます。セラミックを盛ったあとは、形成して形が決まれば焼成という操作へ移ります。焼成はセラミックを焼くことで固くする操作です。このような構造・操作を経てセラミッククラウンが出来上がります。

セラミック歯に使用するセラミックの種類

セラミックと一言でいっても多くの種類があります。セラミックだけを使用して歯の被せ物を作ると「オールセラミック」と呼ばれます。他にもレジンを配合したものや裏打ちに金属が使用されているもの、セラミックの中でも純度の高い素材が使われているものなどがあります。

オールセラミック

オールセラミックは文字通り「すべてセラミック」で作られた材料です。セラミックの特徴が最大限に生かされた被せ物となります。他のセラミック材料と比べて、セラミックのみで製作されているため、自然な歯のような透明感のある歯を再現できます。

また、セラミックという素材は汚れがつきにくいのが特徴です。オールセラミックは他のセラミック材料と比較して歯の色調再現性だけでなく、審美性が高い材料ともいえます。

メリット

オールセラミックのメリットはその高い審美性にあります。他のセラミック材料と比較して色の再現性や透明感を出すことができ、自然な歯に近い形で人工歯を製作できます。さらに、セラミックだけを使用していることから金属アレルギーの患者様でも使用いただけます。

デメリット

オールセラミックは金属を使用せずにセラミックのみで製作されます。金属は他の材料と比較して強度が高く、壊れにくいという特徴があります。つまり、セラミックだけでは強度が十分ではないことがあるのです。

実際、噛み合わせが強かったり、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、セラミック歯が欠けてしまう可能性があります。

適応範囲

オールセラミックは歯の部位を選ぶことなく使用できます。ただし、セラミックだけでは強度面で不安が残るため奥歯よりは前歯で使用されることが多いです。

ジルコニア

ジルコニアは、人工ダイヤモンドと呼ばれることがあります。ダイヤモンドほど硬いことでこのように呼ばれるようになりました。主成分は二酸化ジルコニウムで、他のセラミック材料と比較しても強度が高いだけでなく審美性も高いのが特徴です。芸能人の白い歯はジルコニアであることが多いです。

メリット

ジルコニアは他のセラミック材料と比較して強度が強いです。強度があるため被せ物が割れにくい・壊れにくいという特徴があります。他にも色調再現性に優れ、自然な歯の色に近い色調で被せ物を作ることが可能です。

デメリット

強度が高いジルコニアであっても通常使用以上の強い力がかかると破損することがあります。また、ジルコニアを製作するときは金属の被せ物よりも多くの歯質を切削しなければいけなくなります。

適応範囲

ジルコニアは強度があり色調再現性があることから、前歯から奥歯の全ての歯に適用されます。

メタルボンド

メタルボンドはセラミックの裏打ちで金属が使用されているものです。一般的なオールセラミックなどは歯を一周囲むようにセラミックで被せ物が作られますが、メタルボンドの場合は外側からは見えない歯の裏側を金属にしています。これにより、使用するセラミック量を少なくでき価格を抑えることができるのです。
さらに、金属はセラミックと比較して強度が高いため壊れにくい被せ物を希望するという方はセラミックよりメタルボンドの方がおすすめの場合があります。

メリット

メタルボンドは裏打ちで金属を使用していますが、他人の目に触れる場所はセラミックでできています。つまり、オールセラミックに近い審美性があリます。さらに、金属を使用することで被せ物の強度を高くできます。

デメリット

メタルボンドでは裏打ちで金属を使用していることから、年数が経つと、内側の金属が溶け出して歯茎に取り込まれ、メタルタトゥーと呼ばれる着色(溶出した金属で刺青をした状態)になる場合があります。その場合、体内に取り込まれた金属は簡単には取り出せず、金属アレルギーの原因になるともいわれています。

もちろん金属アレルギーの既往がある方は適用できません。金属アレルギーは今までアレルギーがなかった方でも急に発症することがあるため、心配な方はメタルボンド以外の治療法を選択した方が良いでしょう。

適応範囲

メタルボンドは基本的に前歯から奥歯全てに適用されます。しかし、前歯で使用する場合、経年により歯茎が下がることで歯と歯茎の境界が露出し、裏打ちの金属が見えてしまうことがあります。前歯で使用する場合はあらかじめ確認しておくことが大切です。

ハイブリッドセラミック

ハイブリッドセラミックとは、セラミックへ無機質であるレジン(歯科用プラスチック)を配合したものです。レジンとは小さな虫歯治療や保険適用の前歯の被せ物などで使用されます。
ハイブリッドセラミックは、オールセラミックと同じで金属を使用していません。ただし、すべてセラミックで製作されているわけではなく、歯科用プラスチックが配合されているため強度面ではオールセラミックやジルコニアよりも劣ってしまいます。

メリット

オールセラミックのような仕上がりになりますが、セラミックの使用量を少なくできるため治療費が抑えられます。また、セラミック治療の中で唯一保険適用(歯種限定)となる治療法です。自然な歯に近い色を再現できるのも特徴です。

デメリット

一般的な歯科治療と比べれば色調再現性が良いですが、ジルコニアやオールセラミックと比較すると色調再現性は劣ります。また、プラスチック素材は強度が高いとはいえません。割れるリスクや壊れるリスクは他のセラミック治療よりも高いです。またレジンは着色しやすいため、時間がたつと黄ばんでくることもあります。

適応範囲

条件つきで保険適用となる場合もあります。

【まとめ】セラミック歯の種類とそのメリットとデメリット

セラミック治療を受けようとしている方は通院回数や被せ物の耐久度、価格などをしっかり比べて選ぶことが大切です。たとえ最高級の被せ物で治療をしても、治療後にメンテナンスを怠ってしまえば再治療となることも珍しくありません。治療を受けてもそのままにせず継続的にメンテナンスをすることが重要です。

公開日:2020.06.07 更新日:2024.01.30
この記事の監修医師:
恵比寿山田歯科医院
歯科医師 歯学博士 山田知里

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