インプラント治療中と治療後の痛みについてCOLUMN

インプラント治療中と治療後の痛みについて

2019年07月16日

監修医師:
歯科医師 歯学博士 山田知里

「インプラント治療を受けてみたいけれど、とても痛かったらどうしよう?」「治療後の痛みはどれくらい続くのかしら?」といった、インプラント治療に関する痛みを心配なさる患者様は少なくありません。

そこで、インプラント治療の治療中、治療後の痛みについて詳しくご説明したいと思います。

インプラント治療 痛みの原因は?

インプラント治療は外科手術をともない、手術に際しては局所麻酔を使用します。このため、手術中に痛みを感じることはほとんどないはずです。

具体的な手術法としては、インプラント体を埋めるあたりの歯茎を切開して、骨にドリルで穴をあけ、インプラント体を埋め込むという流れになります。一般的な症例では入院の必要はありません。

手術後は一般的な外科手術と同様、麻酔が切れると徐々に鈍い痛みを感じるでしょう。これは患部の感覚が戻ってくるためです。術後は数日分の痛み止めを処方されます。

「骨に穴を開けて……」などと聞くとちょっと怖いイメージですが、実際にはごく一般的で簡単な外科手術と変わりません。
例) “テーマパーク8020 インプラント”. 日本歯科医師会. https://www.jda.or.jp/park/lose/index19.html#6, (参照 2019-06-30)

インプラント手術後のと痛みの期間について

症例や手術の方法によって期間には幅がありますが、インプラント手術を受けた後、インプラント体が完全に骨になじむまでの期間は数ヶ月から半年以上が必要とされます。痛みはいつまで続くのでしょうか。

手術後は数日~一週間程度、歯茎の腫れに痛みがともなう場合もありますが、腫れがひくとともに痛みも薄らいでいくでしょう。

実際に手術を受けられた患者様の声としては「虫歯治療よりも痛みが少なかった」「抜歯したときのほうがずっとすごい痛みだった」といった声が多いようです。

なお、痛みの発生や感じ方は非常に個人差が大きく、術後しばらく経ってから痛みを感じる場合や、腫れがひいてもしばらく痛みが続く場合もあります。

ただし、痛みがあまりに激しく、それが1ヶ月以上も長く続くようであればインプラント周囲の骨が炎症や感染症などを起こしている可能性も考えられます。

また、埋入したインプラント体および義歯部分(上部構造といいます)、ならびにそのふたつを連結させるアバットメントのいずれかのサイズがあわず、インプラント周囲を圧迫しているために痛みが発生しているケースも考えられるでしょう。

そういう場合は一度インプラントを除去し、患部の回復を待ってから再手術を受けるなどの方法が考えられます。

歯茎が痛い、腫れる……。手術から数年後の痛みとは?

まれに、「インプラント手術を受けてから数年後に痛みだした」という患者様がおられます。

原因としてはインプラント埋入部に菌が侵入するなど、インプラント周囲で歯周病が進行している場合が考えられるでしょう。

また、インプラント埋入後に適切なケアを怠っていたような場合、インプラント周囲炎が静かに進行して、インプラントの周囲の骨が次第に溶けていったという可能性も考えられます。

このような場合、術後当分の間は痛みや違和感はなく、数年後になってからクリニックを訪ねて検査したところ症状が深刻になっていたことに気づくというケースに陥りやすいようです。

いくらインプラント手術後の経過が良好でも、歯科医師の指示どおり適切なケアを怠らず、定期的に検診を受けるといった慎重さが必要でしょう。

インプラントと骨の境目にヒビが入るケース

上記以外でインプラント手術を受けてから数年後に痛みが発生するケースとしては、埋入したインプラントと、インプラントと結合している骨との間にヒビ(亀裂)が生じ、これが原因で痛みが生じたりインプラントが抜けてしまったりするという状況が考えられます。

このようなヒビが入る原因として考えられるのは、歯を強く噛みしめるクセや、睡眠中に無意識に激しい歯ぎしりをしてしまうことなどです。

何か異常を感じたら、とにかく早急に歯科医師に相談して、レントゲンなどの検査を受けてみることをおすすめします。

【まとめ】インプラントも自分の歯のように大切に。

ここではインプラントにまつわる一連の痛みについてご説明してきました。

ここまでをまとめると、

  • インプラント手術の際の痛みは局所麻酔で感じない。術後の痛みも虫歯治療や抜歯と同程度かむしろ軽いことがほとんど。
  • インプラントが患部を圧迫していたり、炎症や感染症などを起こしたりする可能性もある。痛みがあまり長引くようであれば歯科医師に相談するべき。
  • 手術後、数年経ってから歯の食いしばりや歯ぎしりなどが原因で痛みが発生することもある。
  • インプラントを長く使っていくうえで、適切なケアと定期的なメンテナンスは必要不可欠

ということになります。

「インプラント治療を受ければ、一生自分の歯と同じように使える歯が手に入るんじゃないの?」とお考えの方は、このような結果にご不満かもしれません。

しかし、ご自分の歯であっても、健康を保つためには日々の適切なケアと定期的なメンテナンス(定期検診を受けるなど)は欠かすことができないのですから、インプラントもそれと同じことだとお考えいただければいいのではないでしょうか。

公開日:2019.07.16 更新日:2024.01.30
この記事の監修医師:
恵比寿山田歯科医院
歯科医師 歯学博士 山田知里

カテゴリー一覧CATEGORY LIST